信号無視した自転車と事故に遭った場合、過失割合はどうなるの?
今回は「自転車」と「車」が交差点で接触した場合の過失割合をご紹介します。
自転車に乗る人も、車で自転車が多く通る道をよく使う人も参考にしてみてくださいね。
自転車が赤信号、車が青信号の場合
まずは自転車が赤信号で走行中に、青信号の車と衝突した事故の過失割合を見てみましょう。
基本割合は「自転車が80%、車が20%」です。
車同士の場合、赤信号と青信号が衝突すれば「100:0」になるので自転車は若干有利に設定されていますね。
しかし、自転車特有の修正要素もあります。
修正要素
自転車にプラス5%
・夜間
車にプラス10%
- 自転車が子供や高齢者
- 自転車が自転車横断帯を通行中
- 車に著しい過失
車にプラス20%
・車の重過失
自転車が赤信号、車が黄色信号
自転車が赤信号、車が黄色信号で交差点に入った場合の過失割合は「自転車が60%、車が40%」です。
修正要素
自転車にプラス5%
- 夜間
- 自転車の著しい過失(*)
(*)「自転車の著しい過失」とは、「酒気帯び運転」や「二人乗り」、「無灯火」や「併進」、「傘さし運転」、「携帯電話の利用」などです。
自転車にプラス10%
・自転車の重大な過失(*)
(*)「自転車の重大な過失」とは「酒酔い運転」や、「ブレーキ装置が付いていない自転車を運転していた」こと、などです。
車にプラス10%
- 自転車が子供や高齢者
- 自転車が自転車横断帯を通行中
- 車に著しい過失
車にプラス15%
- 車が赤信号直前進入
- 車に重過失
そういえば競輪選手が乗ってそうな、ヘルメット被って乗ってる自転車あるじゃないですか?
原付くらい速く走ってる自転車。
ロードバイクの事ね。
最近よく見るわね。
そうそう、それです。
あれって普通の自転車よりスピードが出てますけど、あれも自転車として扱われるんですか?
自転車が時速30キロを超えて走行する場合は、バイクと同じとみなされるの。
だから今回の例だとバイクと車の過失割合、「バイク 70%:車 30%」が適用されるわ。
へぇー。そうなんですか。
でもそうですよね。あの自転車めちゃくちゃ速いですもんね。
スマホながら運転の自転車高校生と車の接触事故
これは私が担当した案件です。
午後8時頃、契約者 坂上さん(仮名)が車を運転して、黄色信号で交差点に進入したところ、左方から女子高生 中山さん(仮名)が、自転車で信号無視をして交差点に飛び込んできました。
坂上さんはとっさにブレーキを踏むも間に合わずに接触。
中山さんは自転車で転んでしまい、擦り傷を負いました。
自転車のフレームは曲がり、手に持っていたスマホも画面が割れています。
坂上さんの車はバンパーに自転車のハンドルが当たり、凹んでいます。
中山さんの損害は全損となってしまった自転車の時価額10,000円とスマホの時価額15,000円です。
坂上さんの損害はバンパーの修理費用で40,000円でした。
中山さんの怪我は坂上さんの対人賠償責任保険で対応したので自己負担ゼロでしたが、坂上さんへの賠償は中山さんのご両親が自己負担することになります。
お怪我の対応と並行しながらの過失交渉です。
先ほどご紹介した通り、基本割合は「中山さん(自転車)が60%、坂上さん(車)が40%」です。
しかし、今回は午後8時の事故だったため夜間修正ということで「中山さん(自転車)にプラス5%」、さらに「中山さん(自転車)がスマホを見ながら自転車に乗っていたため5%」、合計10%が中山さんに加算されます。
そのため「中山さん(自転車)70%、坂上さん(車)30%」がこの事故の過失割合になります。
中山さんの自転車とスマホの損害額が25,000円、坂上さんの修理代が40,000円なので、中山さんは坂上さんの修理代28,000円(40,000円 × 70%)、坂上さんは自転車などの修理代7,500円(25,000円 × 30%)を負担するのです。
つまり、女子高生中山さんは差し引き20,500円(28,000円 - 7500円)を坂上さんに支払うことになります。
このことに、中山さんのお父様が反発なさいました。
お父様との会話
中山さん父「今回の事故の過失割合はどうなるのですか?」
私「はい、基本の割合はお嬢様が60%、坂上様が40%になります。
さらに事故が発生したことが夜間であることから5%、お嬢様がスマートフォンを見ていたことから5%加算され、お嬢様が70%、坂上様が30%になると考えています」
中山さん父「そうですか。娘がながら運転なんかするからいけないんです。それでいいと思います」
私「ありがとうございます。それではご負担いただく金額を申し上げますね。中山様には坂上様の車の修理代40,000円の7割をご負担いただき、坂上様が中山様の自転車やスマートフォンの修理代25,000円の3割を負担しますので、差し引き20,500円お支払いいただくことになります」
中山さん父「はい?そんなに負担するんですか?娘は自転車だったんですよ。怪我もしているのにその上修理代を負担するなんておかしいじゃありませんか。下手に出たらこっちの足元を見るようなことを言って!」
私「申し訳ございません。中山様が過失割合に納得されたというのでご案内差し上げたのです。それぞれの損害額は変わらないので、この割合で解決するのであれば20,500円ご負担いただくことになります。」
中山さん父「そりゃ信号無視した上にスマホ見てた娘がいけませんよ。だから過失割合は納得しました。けどその金額は納得できませんね。坂上さんの車の修理代が40,000円なんておかしいでしょ。ちょっとした擦り傷ですよ」
私「確かに見ただけでは擦り傷程度しか付いていないように思えるかもしれませんが、実は最近のバンパーは衝撃を受けたら一度は凹みますが元に戻ることがあるのです。
坂上様のお車もその状態でして、バンパーの内側の部品が少し歪んでおりますので、そちらも修正しなければならず、この金額になっております。
もしご納得いただけないようでしたら、坂上さんのお車の修理見積もりと写真をお送りした上で、車の専門スタッフのアジャスターからご連絡差し上げますがいかがいたしますか?」
中山さん父「・・・。ぜひそうしてもらいたいね」
中山さんのお父様はお嬢様の損害額も、過失割合も納得していたのですが車側の修理金額が高額であることに納得がいかなかったようです。
私は当日のうちに坂上さんの写真と見積もりを送った上で、到着したらすぐにアジャスターに電話をしてもらいました。
専門的な説明を受けて、お父様は渋々ながらも納得していただき示談書に署名捺印いただけました。
まとめ
自転車が信号を無視した場合の過失割合、意外と高く判定されていましたよね。
その上、車に損傷がある場合、過失割合に応じて賠償するとなると、坂上さんと中山さんの案件のように揉めるケースが少なくありません。
車の修理代は高額になりがちなので、保険に入っていない自転車に乗っていると自腹で数万円から数十万円を自己負担しなければならず、その金額がネックで解決に時間がかかるのです。
もし、ご自身やご家族が自転車に乗ることがあるのであれば、自動車保険に「個人賠償責任保険」という特約をつけておくことをおすすめします。
これをつけておけば、同居の家族が自転車で起こした事故については、ほぼ自己負担なく解決することができます。
保険会社によっては示談交渉サービスもついていますので、中山さんのお父様のような苦労をすることもありません。
途中からでも加入することができますので、保険会社のホームページをチェックしたり、代理店さんに問い合わせてみるといいですよ。
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