交通事故の過失割合って何?

過失割合って何?

過失割合って何?

過失割合とは、交通事故で発生した損害(車の修理代など)をお互いの責任の度合いによって、それぞれが支払う負担割合を決めるものです。

お互いの損害をそれぞれの割合に応じて賠償しましょうね、という仕組みです。

本来であれば道路交通法にのっとって、1件ずつ裁判で決められます。

しかし、現実にはすべてを裁判によって結論を出すのではなく、当事者同士が納得すればその過失割合で示談が行われます。

日本ではほとんどの人が任意保険に加入していますので、実際は当事者や保険会社同士が相談をして過失割合を決めています。

過失割合ってどうやって決まるの?

車vs車、車vs自転車、車vsバイク、など動いているもの同士の事故につきものなのが過失割合です。

過失割合によって賠償される額が変わってくるので、示談交渉の中ではもっとも大切と言っても言い過ぎじゃないのです。

けれど、知らないがために本当はもう少し過失が少ないはずなのに、大きい過失割合で示談してしまうという人も中にはいます。

参考:「過失割合の交渉で、自分の保険会社に言い包められない方法」

過失割合が少し変わるだけで自己負担額が大幅アップ、なんてこともあります。

そこで、過失交渉で不利にならないための過失割合の基礎知識を解説していきます。

保険会社や相手と過失割合について話し合う前にぜひ目を通してみてください。

①過失割合の基本 計算方法

例えば、90:10という過失割合の場合。

過失割合90%の田中さん(仮名)の自動車の修理代 100万円

過失割合10%の鈴木さん(仮名)の自動車の修理代 150万円。

簡単に計算すると、過失割合は90%の田中さんはすべての損害額(この場合はお互いの車の修理代の合計額)の9割、鈴木さんは1割を負担することになるのです。

田中さんの負担額

(自分の車の修理代100万円 + 鈴木さんの車の修理代150万円) × 90%=225万円

≪内訳 → 自分の車の修理代90万円と、鈴木さんの車の修理代135万円≫

鈴木さんの負担額

(自分の車の修理代150万円 + 田中さんの車の修理代100万円) × 10%=25万円

≪内訳 → 自分の車の修理代15万円 + 田中さんの車の修理代10万円≫

90:10で解決できれば、鈴木さんは15万円の負担ですが、もし80:20で解決することになってしまった場合の負担額は倍の30万円となってしまいます。

10%の差って大したことないのかな、と思ってしまいますが、実際の数字を見ると、実感がわきますよね。

たった10%の差が大きな負担増となってしまいますので、過失割合の交渉には心して臨みましょう。

②過失割合の基本 「基本割合」と「修正要素」

さて、ではこの割合はどうやって決めているのでしょうか?

担当者の裁量?社内基準?

いいえ、違います。

実は保険会社は、「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という自動車事故の判例集を持っています。

参考:判例タイムズ社 ホームページ

それに基づいて、交渉するのです。

どの保険会社の担当者も1人1冊ずつ持っている、いわば示談担当者のバイブルです。

交差点での出会い頭事故、進路変更時の事故、高速道路上での事故、などと細かく分類され、それぞれの過失割合が過去の判例に基づき掲載されています。

例えば、センターラインが貫通している道路を走っている車と、脇の公道から出てくる車が衝突した場合は「10:90」と書かれています。

これを「基本割合」と言います。

けれど実際の事故はちょっとずつ状況が違いますよね。

その状況に応じて過失割合を増減させることを「修正」といいます。

保険会社同士が交渉する時に過失割合を増減したい場合は「修正要素」つまり修正する理由がなければならない、というのが建前です。

この「修正要素」判例タイムズに書かれています。

具体的な例を挙げると、酒気帯び運転→10%加算、カーナビや携帯電話の使用→10%加算という感じです。

修正要素は、事故当事者双方に適用されます。

優先道路を走行していた車も、脇道から出てきた車も修正する要素があれば過失割合が加減されるのです。

では修正要素が複数ある場合はどうなるのでしょうか。

基本割合がAさん90:Bさん10、という事故で、Aさん側に修正要素が20%あったとします。

90+20=110で、Aさんの過失割合は100%を超えてしまいますよね。

しかし、あくまで過失割合は、損害額の負担割合を決めるものなので、修正要素がたくさんあったからといって100%を超えることはありません。

ちなみに、Aさん90:Bさん10の事故で、Aさん側に修正要素が10%あるからといって100:0にできるかというと少し厳しいです。

示談の現場では、修正要素を積み重ねたから100:0になる、というケースはほとんど見られません。

そもそも、修正要素を適用できる事故というのもあまりありません。

道路幅や飲酒運転、車の大きさなど、客観的に証明できる修正要素は適用できますがスピード超過や携帯電話の使用、などの修正要素は本人が認めなければ適用できません。

私たちは「相手は飛び出してきたのだから10%修正することはできないのですか?」

という契約者さんからの心からの訴えをしょっちゅう耳にしますが、残念ながらそれは、基本割合に含まれているので、それだけでは10%修正することは困難です。

どうにかしてあげたいな、と思ってはいるのですが、日本の裁判は判例主義、よって現場の私たちも過去の判例にのっとって解決していくしかないのです。

まとめ

最後におさらいをしておきましょう。

過失割合とは、お互いの負担割合を決めるもので、原則として過去の判例に則って決められます。

しかし、事故状況によって多少の加減は可能。

自分にとって有利に交渉を進めていくためには、まずは自分の事故状況の判例を知るべきです。

まずは保険会社に「判例タイムズ」という判例集の写しを送ってもらいましょう。

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