追突事故に遭い人生最後の車が全損に・・・
これは81歳のおじいちゃんAさんの車が全損になったお話です。
契約者がAさんの車に追突し、Aさんの車の修理代は「60万円」。
しかし、Aさんの車は15年前に購入したものなので時価額は低くレッドブック(保険会社が事故車の市場価格を調べる本)で確認すると「30万円」でした。
これは、「経済全損」と呼ばれる全損で、物理的に修理はできるけど修理代よりも時価額(市場価格)が低く、受け取ることができる賠償金の上限は時価額までとなります(代車費用やレッカー代は別です)。
契約者さんは「全損超過修理費用特約」という相手が全損になった場合も一定額の超過した修理費用が支払われる特約には加入していませんでした。
(全損超過修理費用特約については「示談担当者も入っている。入っておいた方が良い「自動車保険の特約ベスト3」」をご覧ください。)
レッドブックは実際の市場価格よりも低い金額になっていることもあるので(詳しくは「交通事故で車が全損扱いになった場合に、もらえるお金のまとめ」をご覧ください。)、インターネットの中古車販売サイトで同じグレード、同じ走行距離の車を探してみましたが、どれもレッドブックよりも低額でした。
私たち保険会社がAさんにお支払いできるのは30万円が限度ということです。
そうと決まれば一刻も早くAさんにお支払いできる賠償金をお伝えしなければなりません。
では私とAさんのやりとりをご覧ください。
私「A様、お車を拝見したところ、A様のお車の修理代の概算は60万円でした。ところが、お車の価値がそれを下回っておりまして、30万円と査定させていただいております。こちらからお支払いできる賠償金は30万円です」
冷たいようですが、最初にはっきりと言わなければ後からトラブルになります。
Aさん「はい?よくわかりませんがね。私は修理してさえくれればいいんですよ」
私「はい、それがお車の修理代よりもお車の価値が低かったので、お車の価値分をお支払いすることになるのです」
Aさん「じゃあ、そのお金で新しい車を買えってことかい?」
私「そうなりますね。A様のお車の市場価格の平均額をお支払いさせていただくことになります。それを調べたところ、30万円でございました」
Aさん「何を言ってるんだい。私の車は買った当時は180万円もしたんだよ。30万円では買えないだから。180万円支払ってもらわなきゃいけないよ。あの車は人生最後の車だって決めて買ったんだから」
私「確かに新車で購入するとそのお値段になりますが、今は購入してから15年経過しているので価値が段々と下がってしまっているのです」
Aさん「あんたじゃ話にならないね。電話で話す話じゃないよ。こっちに来て説明なさいよ」
私「かしこまりました。大切なお車のお話なので早速明日、ご自宅にお伺いさせていただきます」
Aさん「わかりました。待ってます。本当に話にならないよ」
Aさんは最後の愛車と心に決めて大切に乗っていたのに価値が30万円だと言われて大変ご立腹でした。
私だってできれば修理代を全額支払って差し上げたいのですが、契約者さんが特約を付けていないので無理です。
時価額で納得してもらうより他ありません。
こういった全損の交渉は電話だとお互いにヒートアップしてしまうことが多く、早めに面談するのが得策です。
この件でもすぐにアジャスターさん(車の専門家)にAさんの自宅に行ってもらい、全損についてしっかりと説明してもらいました。
アジャスターさんがAさんの家に出かけてから帰ってくるまでに5時間もかかっていたので、かなり苦しい交渉が続いたのだと思います。
結局Aさんは30万円で泣く泣く納得し、免責証書に署名捺印なさったそうです。
普通乗用車ではなく、中古の軽自動車を購入することにしたと言っていました。
Aさんを泣き寝入りにしてしまったのは私たち保険会社ですが、こういった事例はいつも心が痛みます。
だから私は「全損超過修理費用特約」に入る事をおススメします。
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