自動車保険の告知事項って?
自動車保険にも生命保険にも、契約時に保険会社に伝えなければならない「告知事項」があります。
正確な情報を偽りなく伝えておかなければ、保険が使えなくなる可能性もあるので気をつけましょうね。
ここでは自動車保険の告知事項をまとめてみました。
私が体験した告知義務違反をしたお客さんのエピーソードもご紹介します。
自動車保険の告知事項と通知事項
では早速告知事項をご覧ください。
自動車の情報(用途車種、登録番号、使用目的など)
用途車種とは、「自家用普通自動車」や「自家用小型自動車」「自家用系四輪自動車」などの分類です。
例えば、ナンバープレートが白の3ナンバーの車は自家用普通自動車に分類されます。
登録番号とはナンバープレートに書かれている地域名、数字などの組み合わせをいいます。
例「品川 300 は 1111」
使用目的とは「通勤使用」や「日常使用」と言った車の使い方を指します。
保険証券記載の被保険者の情報(氏名・免許証の色など)
その車を主に使う契約者の名前や住所、そして免許証の色です。
免許証の色とは免許の有効年月日が書かれている部分の色のことです。
緑色、青色、金色の3種類があります。
契約者の自動車保険契約台数(10台以上かどうか)
その保険会社で何台の車を契約しているかを伝えなければなりません。
10台以上になると、「等級制度が適用される保険」ではなく「フリート契約」という契約をしなければならないからです。
前契約の等級、事故の有無などの情報
保険会社を乗り換える場合、前の保険の等級と過去3年間の事故の件数を報告しなければなりません。
他の自動車保険契約等(重複保険契約)の情報
原則として1つの車に2つの自動車保険をつけることはできないので、他に契約がないかどうかを伝えなければなりません。
ただし、一部の共済では「車両保険がない」ことがあります。
そういう場合は「対人、対物、人身傷害は共済、車両保険だけ損害保険会社で加入する」こともできます。
その場合もきちんと加入前に告知しなければなりません。
これらの情報を偽ることなく契約時に保険会社に伝えなければなりません。
そして、これらの情報に変更がある場合は保険会社に変更を届けなければなりません。
これを「通知義務」と言います。
例えば、「使用目的が変わった場合」や「登録番号を変更した場合」です。
連絡事項と言って「車を買い替えた場合」や「住所を変更した場合」も保険会社に伝えなければなりません。
私が担当した告知義務違反のお客様
これらの告知、通知、連絡を正しく行わないと最悪の場合、保険金が支払われないことがありますので、契約時、そして契約中も何か変化があったらすぐに保険会社に報告してくださいね。
ここでは、告知、通知義務、連絡事項を怠ったせいで悲しい目にあったお客様のエピソードをご紹介します。
使用目的を偽って加入したAさん
≪Aさん 45歳 男性 営業マン 仕事中に追突事故を起こした≫
私が勤務していた保険会社では使用目的に応じて保険料が割引される制度がありました。
(割引制度の詳細は『自動車保険の割引ってどういうのがあるの?』をご覧ください。)
「日常レジャー使用」が一番保険料が安く、ついで「通勤通学使用」、「業務使用」の順に保険料が高くなります。
契約した時にお客様の自己申告によって設定され、事故を起こした時に使用目的を確認します。
Aさんは「日常レジャー使用」という契約でしたが、事故報告書には「仕事中に追突した」と書かれています。
使用目的が、日常レジャー使用でも「月に15日未満」であれば業務使用は可能です。
だからこの時点ではAさんが告知義務違反をしたとは言い切れません。
「たまたま仕事で使っただけでありますように」と祈るようにAさんに電話をして担当の挨拶、事故状況の確認をしました。
そしてとうとう使用目的の確認です。
私「A様、事故時はお仕事の最中ということでしたが、普段からお車はお仕事に使われているのでしょうか?」
Aさん「ああ、そうですよ。毎日営業で使ってます。うちの会社ケチでねえ。社有車ないんですよ」
私(あちゃあ。けど契約後に転職しただけかもしれない)「そうでございましたか。A様は契約時に使用目的は、日常レジャー使用と申告されているのですが契約後に状況が変わられたのでしょうか?」
Aさん「あっ!あぁ。いや転職はしていないです。それがあのう、代理店の人がこの方が安くなるって言って・・」
Aさんは元々業務に使っていたけど、代理店さんが「日常レジャー使用と申告した方が、保険料が安くなるよ」とアドバイスしたために虚偽の告知をしていたことが分かりました。
この後、営業経由で代理店さんに調査が入り、Aさんの事故対応が話し合われました。
最悪「保険金を支払わない」という選択肢もあったのですが、今回は代理店さんが誤ったアドバイスをしたために起きたことです。
結局、代理店さんは厳重注意、Aさんは1年間の保険料の差額を即座に収める、ということで保険金を支払うことになりました。
Aさんは一件落着した後に「本当にすみませんでした。まさかこんなことになるなんて」としょんぼりしておられました。
私の体感では、使用目的の相違は月に2、3度はあります。
しかし、ほとんどが契約後に状況が変わっただけなので保険料を追加で徴収することで丸く収まります。
ただし、今回のAさんのようなケースで強い悪意が感じられる場合には契約が解除される可能性もありますので、保険料を節約したいからといって虚偽の申告をするのはやめましょうね。
お相手がいる事故の場合、保険金が支払われないだけではなく、虚偽の申告が判明した時点で示談交渉サービスも行うことができません。
車を買い替えたのに連絡をしなかったBさん
≪Bさん 23歳男性 会社員 交差点で信号無視をして相手と衝突≫
私たちは事故報告書を受け取ったら、その事故が保険金を支払うことができる事故かどうかをチェックします。
保険料はきちんと入金されているか、運転者限定、年齢限定に合致しているか、と一つ一つ丁寧に確認します。
Bさんの事故を受け付けた時もいつも通りチェックしていたところ、事故報告書に記載されている車と契約情報に登録されている車が違うのです。
契約情報は「ワゴンR」なのに事故報告書は「ムーブ」になっています。
考えられる原因は2つあります。
『他車運転特約に該当する事故』なのか、それとも『新しい車を買ったのに契約を変更していなかった』のか、です。
他車運転特約の場合、他人の車をたまたま運転していた時に適用されます。
事故報告書に記載されているムーブが友達や修理工場から借りた代車であれば保険は使えます。
新しい車を買った場合は、猶予期間以内(車を買ってから30日以内)であれば保険を使えるかもしれません。
私は緊張しながらBさんに電話をしました。
挨拶を済ませて、すぐにBさんに質問します。
私「B様、今回事故の際に乗っておられた車はムーブで間違いありませんか?契約の際に伺っていた車はワゴンRなのですが」
Bさん「ああ、そうそう。2ヶ月前に車を乗り換えたんだよね」
私「そうでしたか。お車を乗り換えられたことを代理店かカスタマーセンターにご連絡いただいておりましたでしょうか?」(もしかしたら事務手続きが遅れているだけかもしれない、という一縷の望みを込めて聞きました)
Bさん「してないよ。自動車保険って契約者は僕だから車はなんでもいいのかと思って」
私「B様、申し訳御座いませんが、お車を入れ替えられた場合は30日以内に弊社にご連絡いただかなければ、その間に起きた事故については保険金をお支払することができないのです」
Bさん「え・・!あ、ああ車を買い替えたのは2週間前だよ! 間違えた」
私「そうでございましたか。それではお車の中の車検証を確認させて頂いてから保険金がお支払できるかどうかを判断させていただきたいと思います」
Bさん「ああそう。わかったよ」
すぐにアジャスターさんに修理工場に行ってBさんの車を確認したところ、車検証上でその車がBさんの名義になったのは「2ヶ月前」でした。
結局Bさんはこの事故について、保険金を受け取ることができず、全額自腹で修理をすることになりました。
総額で「170万円」を自己負担して賠償したそうです。
Bさんのように、車を乗り換えたことを保険会社に連絡せずに契約を変更しないままで事故を起こしてしまう方は1年に4、5人いらっしゃいます。
新しい車に乗り換えて「30日以内」であれば保険対応できますが、「30日」を超えてしまうと保険金を支払うことはできません。
事故はいつ起こるのか、誰にもわかりませんので車を乗り換えたら早めに保険会社に報告しておきましょうね。
まとめ
告知義務、通知義務、連絡事項を怠ると最悪の場合保険金が支払われません。
せっかく保険料を支払っていても、ちょっとした報告、連絡をしなかったばかりに高額な賠償金を負担することになりますので、何か変化があったらすぐに保険会社に連絡をしましょう。
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