怪我をしたのに人身事故扱いにならない場合があるの?

交通事故で当事者の誰かが怪我をしたら、「人身事故」という扱いになり、加害者に罰金などが課せられることがあります。

しかし、中には怪我をしているのにも関わらず、人身事故扱いにならないケースもあります。

今回はそんなケースについてまとめてみましたので参考にしてみてください。

警察に診断書を提出してない場合

通常、事故後に怪我をしていることが判明し通院した場合は、医師に診断書を書いてもらい、警察に提出しなければなりません。

医師は診断書に、「頚椎捻挫 全治1週間」などと書いてくれます。

それを受けて、警察は物損事故人身事故に切り替えるのです。

*一目で怪我をしていることが分かる場合は、診断書の提出を待たずに人身事故扱いとなります。

しかし、何らかの理由で診断書を警察に提出しなかった場合は、人身事故扱いではなく物損事故扱いになってしまいます。

よくあるパターンが次の2つです。

怪我が軽くて検査通院のみであったため

「事故の夜、少し体に違和感があったため検査のために通院したけど、今後通院するつもりはない」というケースです。

交通事故に遭った方々は、車と車がぶつかった衝撃に圧倒されて、自覚症状が少なくても怪我をしているのではないかと不安になります。

そこで、念のためと医師の診察を受けることは少なくありません。

しかし、診察の結果、自覚症状もなく、レントゲンなどでも異常が認められない場合は、わざわざ警察に診断書を提出しない場合が多いのです。

ただ、事故から数日後に痛みが出ることがあります。むち打ちがよくある例です。

その場合には人身事故への切り替えが必要です。すぐに医師の診察を受けて、診断書を警察に届けましょう。

切り替えないと、治療費や慰謝料を支払ってもらえなくなります。

短期間で治療が終わると自己判断した場合

「体に違和感があるので通院はするけど、2,3回行けば治りそう」
「これくらいの怪我ならすぐ治るから通院は必要ない」

このように自己判断してしまう場合でも、警察に診断書を提出しないことがあります。

しかし怪我を負っている以上、診断書を出して人身扱いにしてもらいましょう。

軽い怪我のように思えても、脳出血などが起こっているかもしれません。

自己判断ではなく、早めに病院に行き検査を受けるべきです。

加害者に人身扱いにしないでほしいと頼まれた場合

人身事故に切り替わると、多くの加害者さんが尻込みしてしまいます。

なぜなら、場合によっては刑事罰の罰金や懲役となったり、違反点数が加えられたりするから。

そこで、被害者さんに「別途お金を支払うから人身扱いにしてないでください」とお願いする訳です。

結論から言うと、きっぱり断ってください。

「慰謝料が多くもらえるならそれでいいんですが」という方もいると思います。

しかし、怪我をしているのに人身事故に切り替えないことで、被害者の立場が悪くなる可能性もあるんです。

例えば、人身事故扱いにしないと、治療費・休業損害・慰謝料などの人身事故の賠償金を支払ってもらえません。

治療費は自腹になってしまいますし、後遺障害認定も受けられずに、泣き寝入りです。

「物損事故のままでいいから」、そう言ってしまうと、受け取った加害者個人からの慰謝料よりも、もっと大きな額を失うかもしれないのです。

怪我を負ったなら、迷わず人身扱いにしましょう。

公道外の事故の場合

「駐車場や私道などで起きた事故は届け出をする義務がないから、人身事故にならない」という勘違いで診断書を出さないことがあります。

確かに、純粋な私有地である駐車場内や敷地内の事故では交通事故証明書は発行されません。

これは基本的に、「道路交通法」の定める「道路」ではないのが理由です。

ただし、駐車場でも不特定多数の自動車や人が自由に行き交う場所であれば、公道と同じ扱いとなり、事故証明書が発行されます。

純然たる私有地などで事故証明書が発行されないケースでも、保険会社に「人身事故証明書入手不能理由書」を提出すれば、人身扱いになります。

「人身事故証明書不能理由書」については、後の項目で詳しく説明しますね。

何か困ったことがあれば、「交通事故に強い弁護士の無料相談」を活用してみて下さい。

人身事故への切り替えができない場合

医師に診断書を書いてもらい警察に提出したにも関わらず、人身扱いにならないケースがあります。

それが、事故発生から2週間以上(警察署によっては10日以上)経過してしまった場合です。

怪我が軽微で外見からは怪我をしていることが事故直後に分からないような場合は、日にちが経過してから病院へ行くこともあります。

その後で診断書を持って行っても、警察は取り合ってくれない可能性があるのです。

その理由は、時間が経ちすぎていると「その怪我と事故との因果関係が分からない」から。

人身扱いにしたいのであれば、必ず事故から1週間以内に、警察に診断書を提出しましょう。

治療が終わってしまった後に診断書を書いてもらえるの?

書いてもらえます。

病院にはカルテが保管してありますので、過去のカルテを基に診断書を作成してくれます。

ただ、先述したように日にちが経過しすぎてしまうと、警察が診断書による人身事故への切り替えを受けつけてくれないこともあるので、早めに対応しましょう。

人身事故証明書入手不能理由書って何?

先述したような理由で診断書を警察に届けなかった場合でも、治療にかかった費用や診断書代、慰謝料などは請求したいですよね。

そこで登場するのが、人身事故証明書入手不能理由書です。

人身事故証明書入手不能理由書という書類を、保険会社経由で自賠責保険会社に提出することにより「こういう理由で人身事故扱いにしませんでした」と申し開きをするのです。

もし困った事があれば「交通事故に強い弁護士の無料相談」がおススメです。

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