少額訴訟制度ってどんな制度?
裁判というと、とても手続きが複雑で手間がかかり、期間も長くかかって大変だというイメージがあります。
ただ、このような裁判のデメリットをクリアする方法があります。
それは、少額訴訟です。
交通事故の損害賠償請求でも、少額訴訟制度を利用することが可能です。
請求金額が少額の場合には少額訴訟が利用出来る
少額訴訟とは、どのような制度なのでしょうか。
まず、少額訴訟とは、請求金額が「60万円」以内の場合に、簡易裁判所で利用出来る簡易な裁判手続きのことです。
通常の裁判では請求金額に制限はありませんが、少額訴訟の場合には請求出来る金額が60万円に制限されます。
ただし、原則的に1回で結審するので、とても迅速に手続きを終えることが出来ます。
少額訴訟の期日で当事者双方が和解することも多いですが、和解が出来なければ裁判所が判決を出します。
この判決に対して相手方が異議を出せば、少額訴訟の判決は効力を失って、通常裁判に移行します。
これが、少額訴訟手続きの概要です。
少額訴訟のメリット
交通事故で相手方本人や相手方の任意保険会社に慰謝料などの請求をする場合にも、少額訴訟制度を利用することが出来るケースがあります。
以下では、少額訴訟のメリットを確認しましょう。
手続きが早い
少額訴訟のまず第1のメリットとして、手続きが早く終わることがあります。
少額訴訟を利用する場合には、まずは簡易裁判所に少額訴訟の訴状を提出して、証拠などの資料一式も提出します。
すると、第一回期日が決まり、相手方にも呼び出し状が届きます。
その第一回期日に、すべての主張と証拠の審理をして、判決まで出てしまいます。
よって、少額訴訟は一回の期日ですべての手続きが終了するのです。
だいたい1ヶ月程度で問題が解決されることになります。
もし、ここで通常の訴訟を利用すると、少額の請求の簡単な事件でも、半年~8ヶ月程度はかかってしまうことが普通です。
このことと比べると、約1ヶ月で終わる少額訴訟がいかに早く終わるかがわかります。
手続きが簡便で自分でも出来る
少額訴訟を利用する場合には、手続きはさほど難しくありません。
申立の際の書類も自分で作成出来る範囲内ですし、証拠も自分でそろえて提出出来ます。
裁判所から難しい法律書類の作成を求められたり、法律的な観点からの難しい争点整理をさせられることもありません。
これに対して、通常訴訟なら、何度も期日が開かれて、そのたびに相手方との難しい法的な主張や反論が繰り返されます。
証拠の提出方法や評価方法についても知っておかないと不利になることが多いです。
最終的には証人尋問が行われるので、その際の対応法も問題になります。
よって、通常訴訟の場合には、弁護士に依頼することがほとんど必須になります。
少額訴訟なら、手続きが簡易なので被害者が自分で対応することが可能です。
自分で対応すれば、高額な弁護士費用がかかることもありません。
和解が出来ることが多い
少額訴訟を利用する場合、判決になることもありますが和解が出来ることが多いです。
和解とは、裁判の最中に当事者双方が話し合いによって問題を解決する方法のことです。
たとえばこちら側が50万円請求していて、相手方が支払をしないと言っている場合に、和解案として相手方が20万円支払うことにして和解するなどのケースがあります。
和解をすると、迅速に確実に支払を受けられるので、請求者側にもメリットがあります。
和解で解決すれば、後に説明するデメリットの項目のように、相手方から異議が出て、少額訴訟の手続きが無意味になることもありません。
少額訴訟のデメリット
少額訴訟にはデメリットもありますので、以下で順番に確認しましょう。
金額に制限がある
少額訴訟では、利用出来る金額に制限があります。
具体的には、60万円までの事件しか少額訴訟では取り扱いが出来ません。
交通事故で60万円の事件というと、かなり小さな事件に限られます。
ムチ打ちで後遺障害が残った場合などには、後遺障害慰謝料だけでも60万円を超えてしまうので、少額訴訟を利用することは出来ません。
交通事故事件の中で、少額訴訟が利用出来るケースは極めて限定されることになります。
難しい争点のある事案には向かない
少額訴訟の手続きはとても簡便です。
基本的に、1回の審理ですべての主張と証拠の審査を終えて判決までしないといけません。
よって、その1回で審理出来る範囲での問題にしか対応しにくいです。
複雑な問題や争点が絡んでいるようなケースの解決には向きません。
交通事故事件の中でも、簡単に審理できて判断出来る事案の方が少額訴訟に向いています。
証拠を揃える必要がある
少額訴訟で自分の言い分を認めて判決を出してもらうには、きちんと証拠を揃える必要があります。
少額訴訟では、基本的に1回の審理ですべての証拠の審理をして判決が出ます。
そのため、その期日にすぐに判決が出せるほど、しっかりと証拠を揃えている必要があります。
交通事故の場合、交通事故証明書や通院の記録、診断書やかかった治療費、物損についての証明書など揃えなければならない資料が結構たくさんあります。
これらのうち、漏れがあるとその部分の賠償金が認定されないおそれがあります。
相手方が異議を出したら通常訴訟に移行してしまう
少額訴訟では、こちら側に勝訴判決が出ても、相手方が異議を出すと通常訴訟に移行してしまうデメリットがあります。
相手方が異議を出した場合、少額訴訟での判決は効果が無くなります。
そのため、少額訴訟手続きを利用して自分で資料や証拠を整えて、期日に出頭していろいろと自分に有利になるようにはたらきかけても、すべてが無駄になってしまうのです。
通常訴訟に移行したら、その後は一ヶ月に一回程度の期日をかさねて、だいたい半年から8ヶ月程度の訴訟手続きに従ってすすめていかなければなりません。
そうなると、結局は弁護士に依頼せざるを得なくなって、弁護士費用もかかってしまいます。
まとめ
下記に当てはまる場合は少額訴訟を検討してみましょう。
- 請求金額が「60万円」以下になるような軽微な事案
- しっかりと証拠が揃えられる事案
- 弁護士に相談したり依頼する費用がない場合
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