示談担当者ならこう選ぶ。後悔しない自動車保険の選び方
「自動車保険は保険料の安さで選ぶ」という人が増えています。
確かに、『代理店系自動車保険』から『通販型自動車保険』に変えるだけで保険料は1万円以上節約できます。
補償内容を必要最低限にすれば、もっと保険料は安くなります。
けど、事故に遭ったときの補償やサービスはそれで十分とは言えないケースもあります。
そこで、実際に起こるトラブルと事故にあった時に役に立つ自動車保険の選び方をご紹介します。
保険料は安くしたいけど、事故対応に安心が欲しい、という方は是非目を通してください。
1、安さだけで自動車保険を選ぶと起こりがちなトラブル
まずは実際に起こったトラブルをご紹介します。
現場調査も車の調査も外注に丸投げ!?
通販系自動車保険の最大のデメリットは『拠点の少なさ』だと思います。
はっきり言って社員の質は変わりません。
独立系通販損保(大手代理店系損保の系列ではない通販系損保)の場合、事故対応の拠点数がそれほど多くありません。
大手代理店系損保が各都道府県に3拠点以上あるのに対し、通販系損保は拠点0の都道府県もあります。
だから、事故現場を確認したり、車の損害調査をしたりするのは自社の社員ではなく、外注の調査員やアジャスター(車の損害調査をする専門家)がほとんどです。
代理店系損保では常にこんな会話が繰り広げられています。
示談担当者「アジャスターさん、今日の事故現場どうでした?修正要素ありそうです?」
アジャスター「現場的には修正要素は厳しそうだけど、車の損害を見ると相手の車かなりスピード出てたんじゃない?だいぶフロントがもってかれてるからスピード差があったと思うよ。」
示談担当者「そうですか!じゃあ現場レポート(調査報告書)が出来次第、相手損保と交渉してみますので、作成できましたらご連絡ください。」
アジャスター「了解です。」
ところが、通販系で現場調査も車の損害調査も外注に出してしまっていればこんな会話はできませんよね。
示談担当者は外注のアジャスターさんからレポートが送られてくるのを待つだけです。
契約者さんとの会話にも差が生まれます。
【代理店系損保の場合】
契約者さん「◯◯町の交差点あるでしょ?あそこで相手が一時停止せずに左から飛び出してきたんですよ。私からは見通しが悪くて」
示談担当者「ああ!あそこの交差点ですね。確かに見通しが悪いんですよね。私もよく通るので分かります。おっしゃる通りお相手の方に一時停止があった気がします。さっそく明日現場調査をしてみます」
契約者さん「そうそう、そうなのよ。じゃあ現場を見たらまた教えてくださいね」
【通販系損保の場合】
契約者さん「◯◯町の交差点あるでしょ?あそこで相手が左から飛び出してきたんですよ。私からは見通しが悪くて」
示談担当者「(インターネットの地図を見ながら) はい、◯◯町ですね。かしこまりました。現場を航空写真で見たところお相手の道路に確かに一時停止がありますね。そうなると過去の判例によるとお客様の過失割合が◯割になります」
契約者さん「あら、そうなんですか。わかりました」
通販系損保はネット写真で現場確認できる場合は、現場調査を省略することが少なくありません。
省略したことで示談内容に大きな差が出てくることはそれほどないかもしれませんが、ちょっと不安になりますよね。
実際に、通販系損保の契約者さんと話をすると多くの方が「現場も車も実際に見ずに交渉を進められて釈然としなかった」「怪我の担当者が挨拶にも来なかった」という不満をおっしゃいます。
結果が同じでも、その過程で不満や不安を感じる方が多いようです。
私が対通販系損保さんと交渉する時も、通販系損保さんは全く現場を見ずに話を進めようとすることが多かったです。
代理店損保のベテランのお局示談担当者は、相手が通販系損保で現場確認をしないと分かると、実際とは異なる現場をわざと伝える、という完全アウトな交渉をする人もいるとかいないとか…。
これは行き過ぎた例にしても、多かれ少なかれ通販系損保にはこんな弊害があるのです。
通販系損保は対人対応も電話だけ!?
事故で加害者になってしまい、相手に怪我をさせた場合、自分の保険会社が相手の怪我の担当をします。
代理店系損保の場合、直接面談をして挨拶をし対応を進めることが多いのですが、通販系は拠点が少ないと全て電話で対応を進めることが少なくありません。
面談すれば、電話だけでは伝わらないニュアンスも伝わりますし、一度会ったことがある場合はその後の対応の安心感が違います。
しかし電話だけでの対応になるとトラブルが起きがちです。
被害者さんが若くてしっかりとしている方なら電話だけでもよいかもしれませんが、ご年配の方や書類を書くのが苦手な方は電話だけだとどうしてもスムーズにいきません。
対人対応ではたくさんの提出書類があるので、それを書いて送るだけでぐったりとしてしまいます。
実際に私が勤務していた保険会社では、最初から最後まで電話で対応をした被害者さんと、面談をした被害者さんでは、面談をした被害者さんのほうがクレーム割合が半分以下、という調査結果もありました。
事故現場に保険会社がきた? いいえ、それは代理店さんです
通販系損保の契約者さんからよく聞く言葉があります。
それが「相手の保険会社の社員は事故現場にすぐに駆けつけたのに、うちの保険会社は来れないですか!?」というお叱りの言葉です。
しかしちゃんとお話をしてみると、現場に来たのは相手損保の担当者ではなく「代理店さん」だったことが分かります。
通販系と代理店系損保の大きな違いは『代理店の有無』です。
代理店系損保は拠点の数と代理店への手数料により保険料が割高になっていますが、その分代理店さんによる手厚いフォローを受けることができます(代理店さんによってサービス内容に差はあります)。
事故現場に夜中でも駆けつけてくれるのは代理店さんです。
中には現場には行かないよ、という主義の代理店さんもいますが、多くの代理店さんがいつでもどこでも現場に駆けつけて契約者さんのフォローをしてくれます。
それがその後の事故対応に大きな影響を与えることはありませんが、契約者さんの安心感は桁違いです。
特に、相手だけ代理店さんが来て面倒を見てくれているのに、自分のところには誰も来ない、という体験をした契約者さんは口を揃えて「代理店さんがいるほうが安心ね」と言います。
補償を削りすぎて賠償金も自腹、示談交渉も自分ですることに!
保険料を安くしようと思って『対物を1000万円』にしたおかげで、とんでもない目にあった、という契約者さんを何度も目にしてきました。
対物1000万円というと、大概の事故は対応できますが、相手がトラックや高級車、踏切やコンビニ、になるとすぐにオーバーしてしまいます。
(詳しくは「信号機、踏切など修理代が高い物をランキングにしたらこうなった」をご覧下さい。)
オーバーしたらもちろん、自分で賠償金を支払わなければなりません。
さらに、オーバーした時点で保険会社の示談交渉サービスは受けられなくなります。
自分で交渉をする、もしくは自費で弁護士を雇わなければなりません。
「弁護士特約を使ったらどう?」と思うかもしれませんが、弁護士特約は、あくまでも自分の損害を請求する時に使うものなので、相手に過失が全くない場合には使用できません。
高額な自己負担が出た上に示談交渉まで自分出する羽目になり、心身ともに疲れ果てた契約者さんは本当に気の毒でした。
かといって保険会社もどうしてあげることもできません。
事故の時、本当に役に立つ自動車保険の選び方
ここまで読むと『代理店系損保』が良さそうですね。
『通販系損保』だと事故後の対応が不安だな。
そんなことないわ。
通販系損保でも代理店系損保並みの事故対応をしてもらうことも可能よ。
①自分の住んでいる地域に拠点のある通販系を選ぶ
通販系損保といえども、すべての拠点が東京にしかない、というわけではありません。
地方の主要都市には拠点があります。
だから自分の住んでいる地域に拠点さえあれば通販系損保でも問題ありません。
現場も車も直接確認してもらえますし、対人対応でも希望すれば面談してもらえます。
②代理店系損保の系列通販損保を選ぶ
代理店系損保はそれぞれ通販系損保を持っていることが少なくありません。
その中でも事故対応は代理店系損保の拠点を使って代理店系損保の社員が行う、という通販系損保を選べば、ほぼすべての対応が代理店系損保と同様になります。
なのに保険料は格安です。
全国各地に拠点があるので旅行や出張中の事故でも現地の拠点に対応してもらえます。
テレビのCMなどで「◯◯損保の系列です」と言っている通販系損保のホームページをチェックして事故対応体制を確認してみてください。
③代理店系損保で補償を見直す
保険会社だけではなく、代理店さんがいることによる安心も必要、という方は代理店系損保を選ぶことになります。
そうすると保険料は割高になってしまいますが、補償を見直すことでリーズナブルな保険料にすることもできます。
代理店系で加入している場合、補償内容も代理店さんにお任せ、という方が多く補償が必要以上に手厚くなりがちです。
「車両保険は一般条件で200万円 免責金(自己負担)0—0円(1度目の事故も2度目の事故も自己負担ゼロ)、代車特約5000円、人身傷害は5000万円、対人対物無制限」
こんな補償内容をしょっちゅう見かけます。
けど実際にはここまでの補償は必要ありません。
示談担当者から言わせれば
「車両保険一般条件150万円 免責金額0–10万円、代車特約なし、人身傷害3000万円、対人対物無制限」で十分です。
【車両保険の金額を見直す】
車両保険の金額は車の新しさ、グレードによってつけられる金額が変わりますが、同じ年式、グレードでもつけることができる金額に幅があります。
100万円から180万円、という感じで自分で決めることができるのです。
代理店系の場合は、代理店さんが良かれと思って最大限つけていることが結構あります。
契約者さんも納得の上で、その金額を選んでいればよいのですが、そうでない場合も少なくないので車両保険の金額を見直してみましょう。
【車両保険の免責金額を見直す】
さらに自己負担金額の設定もみてください。
1年間に2度事故があった場合、2度目の事故は自分の車の修理代は自己負担が発生する、という契約がほとんどの保険会社のデフォルト設定です。
それを2度目のゼロという設定にするだけで保険料は割高になります。
年に2回も事故を起こすことはそれほどありませんので、免責金の設定は「0-10万円」のように設定しておくことをおすすめします。
【代車特約は不要】
代車特約とは、事故や故障(対象になる保険会社とならない保険会社があります)で車を修理する時の代車費用を設定金額を上限に支払ってくれるものです。
車なしでは生活できない地域に住んでいると代車特約は必要不可欠と思いがちですが、以外と必要ありません。
車椅子用の福祉車両が必要、常に10人乗るからマイクロバスじゃなきゃダメ、というレアケース以外は代車特約はつけないことをおすすめします。
なぜなら、ディーラーや修理工場が出してくれる代車に乗れば良いのです。
ディーラーによっては代車は有料で、無料の代車が空くまでに1ヶ月かかる、なんて言われることがあります。
そんな時は保険会社の提携修理工場を紹介してもらいましょう。
今はほとんどの保険会社が修理工場と提携して、代車を『無料』で貸し出すサービスを提供しています。
提携している修理工場は、ディーラーの外注をしている修理工場が多いので修理内容はディーラーに出す場合と変わりません。
ちなみにこのサービスは保険を使わなくても、車両保険に加入していなくても受けることができます。
【人身傷害の保険金額を下げる】
人身傷害保険の保険金額が5000万円を超えている人は見直してみましょう。
人身傷害保険は、5000万円で契約しているからといって死亡したら無条件で5000万円支払われる訳ではありません。
死亡した方の年齢、職業、年収、などによって保険金を計算します。
簡単に言うと生涯年収から生活費を差し引くのです。
5000万円で契約していたのに、計算してみたら2000万円だった、というケースは珍しくありません。
人身傷害保険の金額は、自分の年収や年齢によって変えていきましょう。
生命保険のように、「子供が小さいうちは補償を手厚く」「子供が独立したら補償は少なく」「定年後は最小限に」という風にライフステージに合わせて毎年見直すと無駄が少なくなります。
【代理店さん選びは慎重に】
代理店系損保のメリット、代理店さんによるサービスを最大限活用するためには、信頼できる代理店さんを選ぶことが重要です。
代理店さんによっては「事故対応は保険会社と直接してください。事故が起きたら私ではなく保険会社に電話をして直接報告してください」という方もいます。
それは間違ったやり方ではありませんが、やはりせっかく代理店系損保に入っているのですから、しっかりとした事故対応をしてくれる代理店さんがいいですよね。
事故報告も、対応も全部自分でするのであれば通販系損保と変わりません。
まとめ
読んでみていかがでしたか?
保険って難しいことが多いので、ついつい いつも通りの内容で更新しがちですが、事故に遭った時に本当に役に立たなければ意味がありません。
これを機に一度 自動車保険を見直してみるのをおススメします。
1社1社に見積り依頼するのが手間な方は自動車保険の一括見積りというサイトもあります。
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