事故車を高く買い取ってもらうテクニック
どんなに安全運転をしていても、交通事故を100%防ぐことは残念ながらできません。
自分や大切な愛車が事故に遭うという精神的なダメージはもちろん、経済的な負担も大きな不安要素ですよね。
今回の記事では、「事故車」になってしまった愛車を少しでも高く売る方法や、損をできるだけ小さくするコツについて解説していきます。
事故車ってどこで買い取ってくれるの?
事故車を廃車にしてしまう方も多いですが、その際に「解体費用」や「抹消登録費用」の金銭的負担、さらに手続きの時間と手間がかかってしまいます。
すぐ廃車にしてしまうより、「事故車専門の買取業者」に売るのがおススメです。
なぜなら、事故車買取業者は国外など「事故車の独自販売ルート」を持っているから。
事故車の状態によっては軽度な板金修理で輸出できるものもあれば、パーツごとに分解してリサイクルに出した方が大きな利益を得られる事故車もあります。
海外では、日本車は「丈夫で長持ちする」という理由で人気があります。
特にアジアや中南米などの発展途上国では、事故車であっても修理すれば高く売れるんです。
また、場所によって人気な車種が異なります。
例えば、砂漠地帯の多い中東や雪道が多いロシアなどでは4WD車、国土が狭く人口密度の高い東南アジアでは、ミニバンやコンパクトカーの需要が高いです。
さらに、修理できない状態の事故車でも、日本車の「使えるパーツ」だけ抜き取り、中古パーツとして販売することができます。
壊れて利用できない部分やドア・ボンネットなどのボディは、「金属」としてリサイクル業者に買い取ってもらうことが可能です。
そのため、ディーラーでは値段がつかない事故車でも、「事故車専門の買取業者」なら高く売ることができますよ。
ディーラーの「下取額」と「買取額」はどう違うの?
実は、私も示談担当者になって、ディーラー勤務経験のあるアジャスター(車の専門家)さんから話を聞くまでは、下取り額が一番高値だと思っていました。
新車を買うのだから、その分を下取りでサービスしているものだと勘違いしていたんです。
ところがアジャスターさんは、「下取り額なんて、査定表通りにやってるだけだからそんなに高くないよ」と教えてくれました。
確かに、下取りを複数のディーラーにお願いして査定額を比べたりしませんから、その金額が妥当かどうかも判断できませんよね。
その点買取業者は、市場の人気を反映した査定基準に則って査定しています。
人気の車種や人気装備がある車は、買取額が下取りよりも大幅アップすることも少なくないそうです。
下取りを希望していたお客さんがネットで一括査定を利用したところ、査定の買取額がディーラーの下取り額よりも10万円以上高くなった…。
アジャスターさんのお話では、こんなことも少なくないそうです。
事故車の買取業者ってどこも同じ?
「車の買取業者はどこも同じだから、どこでもいいでしょ?」
私が現役時代、こう言った声をよく耳にしました。
しかし、査定額はその業者によってまちまち。
「じゃあどこが高いのか教えてよ」と言われます。
この質問に対して、私ははっきりと回答することはできません。
なぜならば、買取業者や車の種類・状態によって、高く買い取ってくれるかが異なるからです。
買取業者ごとに得意・不得意があるので、「口コミで買取価格が高いという噂のA社よりも、安いという口コミが多いB社の方が査定が高かった」ということは珍しくありません。
海外輸出の太いパイプを持っている業者、リサイクルが得意な業者など、買取業者にもさまざまな特徴があります。
だから、車を買い取ってもらいたい場合は1社だけではなく、複数の買取業者に査定してもらい、買取額を比較することが重要です。
口コミに惑わされることなく、自分の目で高額査定をしてくれる業者を選びましょう。
そこでオススメなのが、「事故車の一括査定」です。
無料で査定してくれる上、必要事項の入力が一度で済むので複数依頼する手間が省けますよ。
こんな買取業者には要注意
買取業社の中には、相手の無知につけこみ悪い仕事をする業者もいます。
例えば、「複数に査定してもらう」と言ってあるのに、その場で無理やり買取契約を結ばせようとする業者。
さらに、契約後に査定額を減額してくるケースもあります。
このような悪徳営業を防ぐには「同時現車確認」がおススメです。
「同時現車確認」とは?
私の同僚だったアジャスター(車の専門家)さんに教わったやり方をお伝えします。
先ほど紹介した「事故車の一括査定」で査定を依頼したら、すべての買取業者に同じ日時に車を見に来てもらいます。
複数の買取業者さんたちを一気に集めて、その場で査定をしてもらうのです。
そうすると、自分で駆け引きをすることなく、査定士同士で価格競争をやってくれるので、確実に高額査定で売却することができます。
悪質な業者も排除できるので、その場で買取契約を強要されることもありません。
事故車を一括査定した実例
私の現役時代、とある被害者が事故車を一括査定サイトで出張買取をしたことがあります。
興味津々で「いくらで売れましたか?」と聞いたところ、「35万円」と教えていただきました。
最初に査定した業者さんは23万円だったそうですが、その後「買取合戦」のような状況になり、結果として12万円もアップしたのだそうです。
ちなみに、私たち保険会社が依頼した買取会社の見積額は、19万円でした。
見積額の高さとその差に、私はもちろんアジャスターさんや同僚たちもびっくり。
それ以降、私は「事故車の一括査定」をおススメするようにしています。
「事故車」と「修復歴車」の違い
実は事故車という言葉は俗語で、正式には「修復歴車」と言います。
査定士はよく「事故車」という表現を使用しますが、これは「修復歴車」という単語が一般の方に伝わりづらいからです。
「修復歴車」の定義は、(社)日本自動車査定協会によると下記のようになっています。
修復歴とは車輌の骨格の部分、つまりフレームやシャーシーなど車の強度を保つ部分に影響を及ぼし、交換や修正をした経緯があるものについて呼ばれます。
例えば、事故により骨格部分に影響を及ぼすと事故歴車になり、その損傷を修復すると修復歴車になります。
逆に、その損傷がその外側部分だけであれば、例えばフェンダーやドアだけであれば、事故歴車になりませんし、交換しても修復歴車にはなりません。ただの交換、板金でしかありません。車が走行する事に関して影響がないためです。(社)日本自動車査定協会 修復歴判断基準
引用元:http://www.k-staff.net/docs/hyouka/hyuka/syufuku.htm
この知識があれば、修復歴車無しの車なのに査定士が、
「バンパーの交換をされていますね。事故車にあたるので査定額が下がりますねぇ。」
などと言ってきたとしても、
「確かに交換しましたけど、フレームまで影響なかったので修復歴車にはならないですよね。だとすると査定額はさがらないんじゃないんでしたっけ?」
と切り返せます。
無知につけこまれない抑止力になりますので、ぜひ覚えておきましょう。
告知義務について
生命保険や医療保険に入る際に、持病がある場合はそのことを保険会社に申告しなければいけませんよね。
それと同じで車を売る際にも、修復歴・故障歴がある場合は、買取業者にそのことを申告しなければいけません。
「修復歴を正直にいうと査定額が下がっちゃうから、ばれなければそのままやり過ごそう」と思って嘘をついてしまうと、告知義務違反となり、後日それが発覚した場合に減額を要求されることになります。
最悪の場合には買取を拒否され、陸送費や手続き費用、さらに違約金まで請求されてしまう場合もあるのです。
このことは、「買取査定規約」(車を売る際に取り交わす契約書)に書かれています。
そのため、車を売る際には修復歴などを正直に申告しましょう。
加害者の保険会社から修理代を上乗せしてもらう方法
これまでご紹介したやり方でも希望の金額に達しなかった場合は、加害者の保険会社に「格落損害」の請求をしてみましょう。
格落損害とは、簡単にいうと、事故が原因で将来の車の買い取り価格が下落してしまうことに対する補償です。
格落損害(評価損)を請求できる条件
0:100事故であること
信号で止まっていたら後ろから追突されたなど、自分に過失が無い場合です。
お互いに過失が発生する事故で認められるケースは、ほとんどありません。
車の損傷が骨格まで及んでいること
シャーシと呼ばれる車の骨格まで壊れていることが前提です。
バンパー交換やドア交換できれいになるケースでは認められません。
新車登録から日が浅いこと
購入して1年以上経過していると、なかなか認められないかもしれません。
これらの条件を満たしている場合には、保険会社に「買い取り価格が落ちるかもしれないんですが、その補償はしてもらえるのでしょうか?」と聞いてみましょう。
もし相手の保険会社が格落損害を認めない場合は、日本中古自動車査定協会に「事故減価格証明書(*)」を発行してもらいましょう。
(*)「事故減価格証明書」とは
交通事故等により車体の骨格に損傷が及んだ場合、損傷の程度によりますが商品価値に減価額が発生する場合があります。
査定協会は減価額を「事故減価額証明書」として発行できます。一般財団法人 日本中古自動車査定協会
引用元:http://www.jaai.or.jp/satei.html
この「事故減価格証明書」を持って、相手の保険会社と交渉してみてください。
公正な立場の第三者機関が発行した証明書なので、格落損害が認められる可能性が高まります。
それでもダメなら、「事故車の一括査定」を試してみて下さいね。
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