プロしか知らないかも?自動車保険のマニアックな特約
自動車保険の特約と言えば代車特約や弁護士特約を思い浮かべるかもしれませんが、実は一般の人にはあまり知られていないマニアックな特約もあります。
ここでは私が実際に処理をしたことがあるマニアックな特約をご紹介しますね。
ラリー特約
その名の通り、ラリー競技中の事故を補償する特約です。
通常の自動車保険ではラリーやレースといった競技中に起きた事故では車両保険は支払われません。
ラリーやレースのように事故が起きるリスクが高いものに保険金を支払っていたら、保険会社が破産してしまう、もしくは保険料が超割高になってしまいますよね。
しかし、ラリー特約に入っていればラリーやレースといった競技中の事故でも車両保険が支払われます。
ただし、きちんとした競技大会に限られます。
仲間たちと峠で競争している、という感じの走り屋さんはNGです。
契約者さんがその大会に参加していたことがわかる書類を提出してもらわなければなりません。
(だいたいインターネットで大会結果を参照すればわかります。)
ラリー特約は「1日あたりの保険料」が「1ヶ月分の保険料」に相当します。
たった1日加入するだけなのに保険料は1万円ぐらいになるのです。
「高い!」と思うかもしれませんが、支払う保険金に比べればかなりお得だと私は思っています。
私が見てきたラリー特約加入者さんたちは、大会の期間中のみラリー特約を付けていました。
そして高確率で事故を起こされていました。
ラリーの車って色々と改造していますし、事故自体もかなり派手なので支払う保険金も高額です。
だいたい1回の保険金請求で車両保険300万円ほど支払っていました。
アジャスターさんはラリー特約の請求があるたびに
「またラリーかあ。金額高いし、修理難しいんだよなあ、レポート作るまで時間かかるんだよなあ」と渋い顔をしています。
中古部品利用特約
これは車両保険を使うときに、部品交換が必要になったら「中古部品」や「再生部品」を使うという特約です(すべての保険会社にあるわけではありません)。
この特約を付けたら保険料が平均で3%から5%ほどお安くなります。
しかし、「お古の部品付けられるんでしょ?ちょっと嫌かな」と思って付けないお客さんが多いですし、あんまり宣伝もされていません。
確かに中古部品って言うと見た目も機能も劣っているというマイナスイメージがありますよね。
私も本物を見るまではそう思っていました。
けど、今の中古部品や再生部品って本当にすごいんです。
とにかく綺麗です。
「中古部品と新品部品を並べてどちらか本物か当ててみよう」という研修があったのですが、はっきり言って本当にどっちが新品か分かりませんでした。
そして私は中古部品を新品だって言ってしまいました。
今の中古部費や再生部品は業者が回収してきれいにして、塗装もし直してあるので見た目からは全く見分けがつきません。
実際、私が自分の車を修理する時は自ら「中古部品使ってください!」って言ったほどです。
「車両保険をケチってつけていなかったからでしょ」と同僚に突っ込まれましたけどね。
ちなみに、私の車は中古部品を付けて8年経ちますが今の所なんの不具合もなく元気に走っていますよ。
人身傷害保険の交通乗用具特約
人身傷害特約は自分や同乗者が怪我をした時に治療費や慰謝料、休業損害が補償される特約です。
基本的に契約車両に乗っている時に補償されます。
しかし、交通上用具特約は契約車両以外の車、バス、電車、そして駅の改札口の中での怪我、自転車に乗っている時の事故、歩行中に自動車や自転車と接触した事故、落下物とぶつかった事故、など様々なシーンで保険金が支払われます。
この特約自体はそれほどマニアックではないのですが、保険金が支払われるケースが結構マニアックです。
しかも契約者だけではなく同居の親族なら誰でもオッケーです。
「同居の孫が自転車で骨折した」というケースでもお孫さんの治療費だけではなく、通院に掛かった交通費や保護者が通院に付き添った費用、慰謝料まで支払われます。
そのほかにも「エレバーターで転倒した事故」や「船の上で転倒して頭を打った事故」なども補償対象です。
私が対応したレアケースだと「歩いていたら自転車にぶつかって怪我をした」という事故もありました。
もちろんこの特約の補償対象です。
「2階からバケツが落ちてきて怪我をした」という事故も補償対象になります。
バケツって!
もはや自動車でも乗り物でもないですね。
だよね。
実際のところ、保険会社の社員もどのケースが支払われて、どのケースは支払われないのかは、毎回確認しなければいけないほど補償対象が広いの。
私の後輩も「先輩!これは出るんですか?出ないんですか!?」ってよく聞きに来てたわ。
この特約は車が複数ある場合は1台だけ付けておいてもいいかもしれませんね。
ただし、自分や同居の家族が所有している車で事故を起こして怪我をした場合は補償されないので、そのほかの車にも通常の人身傷害保険を付けておきましょう。
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